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Daily life of pet

2007年10月30日

停留睾丸(担当獣医師 ブログ管理人Dr.X)

先日、このブログでお話いたしました「去勢手術」についての続編です。
リタママさんから質問をいただきました「片方だけの去勢手術」について、コメントだけでは説明不足なため新しくエントリーします。
何の話かいな?とお思いの皆様におかれましては、お手数ですが10月12日のブログとコメントをご確認ください⇒クリック
071030ブログ.JPG

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①そもそも停留睾丸とはなんぞや?
雄の睾丸(きんたま)は胎生期(おかあさんのお腹の中にいる時期)にはあかちゃんのお腹の中にあります。出生後に陰嚢(ふぐり)の中におりてきます。
071030胎生期.JPG 「イラストでみる犬の病気」(講談社)より抜粋

これが滞って「腹腔内」もしくは「ソケイ部」に留まったものを「停留睾丸」といいます。
片方に起こる場合(片側陰睾)もあれば、両側に起こる場合(両側陰睾)もあります。

②ほっといたらイケナイの?
まず、なぜ♂のキンタマは袋に入ってぶら下がっているか?という話から始めます。
答えは「冷やすため」です。
生殖細胞(オスの精子やメスの卵子もしくはその元になる細胞)は体の中で唯一その動物を生かすためではなく、次の世代を残すための細胞群です。そのため他のほとんどの細胞と異なるキャラクターを持っています。
オスの生殖細胞がある睾丸(精巣)の場合、通常の体温環境では正常に精子を形成できなくなります。少し低い温度が正常に精子を形成する「適温」となります。冷やす必要があるわけです。よって陰嚢という「体から飛び出した冷却する場所」が必要になるわけです。
停留睾丸の場合、睾丸にとっては高温下にさらされて、通常の精子形成活動が長期間にわたり抑制され、腫瘍の発生率が高くなります。一般に良性腫瘍ですが、まれに悪性のものもあります。
071030セルトリ細胞腫.jpg 「イラストでみる犬の病気」(講談社)より抜粋

良性の腫瘍でも、異常なホルモン分泌によって、雌性化を起こしたり、血液を造る骨髄が抑制され命に関わる事態を起こしたりすることがあります。
よって、停留睾丸の場合は強く去勢手術をお勧めします。

③停留している睾丸だけ切除したらいいんじゃない?
体にはバランスを保つ「フィードバック」という機能があります。
たとえば、あるホルモンをバランスよく分泌する必要があるとします。
分泌細胞から必要以上のホルモンが産生分泌された場合、その分泌にブレーキをかける必要があります。
体の特定の部分にその濃度をキャッチするセンサーがあり、異常な濃度を感知した場合に分泌細胞に分泌を抑えるような命令を出します。
これが「フィードバック」です。
もちろん、濃度が下がれば抑制命令は解除されます。
ところが、片側の睾丸が腫瘍化し多くのホルモンが分泌された場合、ほとんどのケースで腫瘍細胞はフィードバックの命令を無視してホルモンを多く産生分泌し続けます。当然、フィードバックがさらに強くブレーキをかけようとしますが、、、、無視されます。腫瘍はゴンタですねぇ、、、(-_-;)
ここで、もう片方の睾丸に注目します。
もう片方の睾丸は素直にフィードバックに従い活動を低下させます。ところが、フィードバックがかかり続けるため、常に強く通常の精子形成活動が長期間にわたり抑制されます
?????
これ、さっきどこかで言いましたよね。
そうです。冷却されない睾丸は精子形成活動が抑制され続け腫瘍化するという話をしました。同じようなことが、フィードバックにより腫瘍と反対側の睾丸にもおきてくるのです。実際、上の写真のように反対側の睾丸は抑制のため萎縮して小さくなっていることが多いですが、切除後に組織を調べてみるとすでに腫瘍化していることがよくあります。
よって、片側のみの停留睾丸の場合でも両側とも切除することをお勧めします

071030シェーマ.JPG 「イラストでみる犬の病気」(講談社)より抜粋

かなりややこしい話になってしまいましたね(^^ゞ
はじめのご質問内容とは外れた内容になってしまいましたが、おそらく話の出所はこんなところじゃあないかと思います。リタママさん

投稿者 yoshidaac : 2007年10月30日 22:50

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